<Header>
<Author: 杜甫>
<Title: 船下夔州郭宿雨濕不得上岸別王十二判官>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 漢文無假名>
<style2: 日本漢文訓讀無假名標注>
<TranslatedTitle:  船にて夔州の郭に下りて  宿す雨濕ひて岸に上るを  得ず王十二判官に別る >
<BookPage: 237-238>
<UsedPage: 2>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
依沙宿舸船，
石瀨月娟娟。
風起春燈亂，
江鳴夜雨懸。
晨鐘雲外濕，
勝地石堂煙。
柔櫓輕鷗外，
含悽覺汝賢。
<End Poem>
<Translation>
夔州の町のほとり、砂濱によせて船を停泊させた。石の瀨の上を流れる水にうつっ た月の光は美しくきらきら輝いていた。そのうちに風が出てきて、春の燈火が吹きみだされ、大江の水音が高鳴りを帯びてきて、雨がさっと降りだした。いつしか夜明け の鐘が遊かに雲の外にひびいて、その聲も雨にしめって聞こえ、名勝の地と聞いた石堂のあたりも煙って見える。水面に軽く浮かぶ鷗をよそにして櫓をこいで船は出て行こうとする。君とわかれてしまうことはかなしい。わが身にひきくらべて、君の生活態度はじつに賢明だと今さらのように感じている。
<End Translation>
<Formatted Translation>
夔州の町のほとり、砂濱によせて船を停泊させた。
石の瀨の上を流れる水にうつっ た月の光は美しくきらきら輝いていた。
そのうちに風が出てきて、春の燈火が吹きみだされ、
大江の水音が高鳴りを帯びてきて、雨がさっと降りだした。
いつしか夜明け の鐘が遊かに雲の外にひびいて、その聲も雨にしめって聞こえ、
名勝の地と聞いた石堂のあたりも煙って見える。
水面に軽く浮かぶ鷗をよそにして櫓をこいで船は出て行こうとする。
君とわかれてしまうことはかなしい。わが身にひきくらべて、君の生活態度はじつに賢明だと今さらのように感じている。
<End Formatted Translation>